「本当に大切なものは靴ではなく、貴方自身の足です。」

とある靴屋さんのHPに、そんな一言が書かれています。

靴を売るのが靴屋の仕事なはずなのに、大切なものは靴ではない？
違和感を覚えるフレーズですが、店長さんからお話をお伺いすると、とても腹落ちする言葉だということがわかってきます。

この度ご紹介させていただくのは、オーダー靴や健康靴の販売などを行っている「飯島屋靴店」です。

大正時代から続く「飯島屋靴店」

飯島屋靴店は、大正時代からオーダー靴を取り扱う老舗の靴店です。

元々は横浜伊勢佐木町の靴店で、曾祖父の代から家業として引き継がれてきました。

そんな中で生まれ育った現店長の飯島さん。父親から靴店の仕事を学び、後にのれん分けの形で構えたのが今回ご紹介する川崎の店舗です。

ちなみに、本家となる横浜伊勢佐木町のお店は現在も営業しています。ご両親とお兄さんが切り盛りされているそうです。

シューフィッターによる身体に合った靴選び

飯島さんは「一般社団法人 足と靴と健康協議会」の認定するシューフィッターの有資格者です。

シューフィッターとは、足（人体）に対する一定の医学知識と、靴に関する基礎知識を併せ持ち、ひとりひとりの足に合った靴の提案を行うことができる「靴の専門家」。

実際に靴を購入する際には、飯島さんの手で様々な角度からお客様の足の寸法を緻密に計り、足のサイズや形状に合った靴の提案を行ってくれます。

さらにシューフィッターの視点だけではなく、「健康靴」の知識や技術に基づき、足の疾病状態も踏まえた靴の提案を行っていることが特徴的です。

健康靴とは

みなさんは「健康靴」という言葉をご存じでしょうか？

外反母趾や巻き爪など足のトラブルに対するフォローや、正しい姿勢や歩き方を補助するといった目的の靴を総称して「健康靴」と呼ぶそうです。

健康靴の歴史は、第二次世界大戦後のドイツにさかのぼります。

靴文化発祥の地であるヨーロッパでは、イギリスなどを中心にそれまでもさまざまな靴を製作する技術が培われてきました。

そんな中ドイツでは、歩行をサポートするために身体の状態に合わせて制作された「整形靴」の技術が確立されていきます。戦争での負傷により身体的に不自由になってしまった方に対し、治療やリハビリの一環として広まったのが整形靴だったそうです。

技術が進むにつれて、整形靴が活用される範囲も広がり、足の本来の機能を助けることを目的とする靴が増え、現在の「健康靴」となりました。

機能性だけでなく、ブーツやパンプスなど、デザイン性も豊富です。

オーダーメイドというと敷居が高く感じますが、飯島屋靴ではオーダー方法が大きく分けて3パターンあります。

• 規定の靴のカラーパターンのみの変更を主とする「イージーオーダー」
• 基本型から個人の足の形によりフィットさせる「セミオーダー」
• 足型からデザイン、靴底の仕様まで全てオリジナルで作成できる「フルオーダー」

それぞれ制作日数や価格は異なるので、詳しくはお店のHPを確認してみてください。

一般的な靴と健康靴の違いは、次のような部分が挙げられます。

• 中敷き（インソール）の有無

人間の足は、親指の付け根、小指の付け根、かかと、この三点（三角形）を結ぶ「アーチ」で支えられています。

アーチのバランスが崩れていると、足や腰、上半身などに負荷がかかり、筋肉や骨、筋を傷める原因となります。このアーチを理想的な状態で保てている人は、それほど多くないそうです。そんなアーチの不足をサポートしてくれるのが「健康靴」の中敷きなんです。

一般的な中敷きは、土踏まずの部分だけ隆起していますが、健康靴の中敷きは、アーチの部分なども隆起した独特の形をしています。

• トゥスペースの広さ

靴のつま先部分を「トゥスペース」と呼ぶそうです。健康靴はこのトゥスペースが広く設けられていることも特徴の一つ。

トゥスペースを広くすることで、足の指が5本とも自由に動き、指の力をきちんと使って地面を蹴ることができる。それが健康的で綺麗な歩行をするための重要な要素だそうです。

以前、陸上部出身の友人に、歩く姿勢の悪さを指摘されたことを改めて思い出しました。

「歩き方を注意しないと、いつか歩けなくなっちゃうよ！」と。

飯島屋靴店で取り扱っている商品は、一般的な量販店で販売している商品と比べると、決して安価ではありません。

しかし、少しでも長く健康的な身体で歩けるよろこびを得ることができるのであれば、それは貴重な付加価値が備わっていると言えるのではないでしょうか。

「本当に大切なものは靴ではなく、貴方自身の足です。」

健康寿命の大切さが見直される昨今、健康への自己投資としていかがでしょうか。
「飯島屋靴店」で、あなただけの一足を手に入れてみてくださいね。