川崎渡田にある大きい寺院「成就院(じょうじゅいん)」
川崎駅からバスを経由し、「成就院前」で下車してから徒歩約1分のところに「成就院」があります。
住宅街の中にあるため、初見ではわかりにくい場所に位置しますが、寺院目の前で降車してくれるので参拝はバスの利用が便利です。
自然豊かな寺院として知られており、春は桜の花が咲き、梅雨の時期には紫陽花、秋から冬にかけては紅葉が楽しめるため、四季を感じられるスポットとして通年多くの人が訪れます。
風格漂う造りで人々を惹きつけるその圧倒的な存在感は、前を通るだけでも気になってしまうほど。
今回は中に入ってその魅力を存分にお伝えしたいと思います。
山門からすぐに本堂が!
「成就院」は京都市東山区にある真言宗智山派の智積院(ちしゃくいん)を総本山とする寺院です。
正式名称は「明王山聖無動寺成就院(みょうおうさんしょうむどうじじょうじゅいん)」。
創建は明らかではないですが、境内にある板碑によると鎌倉時代中期と推定されています。
本堂をはじめに建造物は、第二次世界大戦中の川崎大空襲によって、ほぼ全てが焼失してしまったため、現在の建造物は1960年代に修復されたものだそうです。
本堂の右側には樹齢300年を超える大きな蘇鉄(ソテツ)が存在します。
こちらも川崎大空襲の際に焼け焦げてしまったものの、現在まで残り続けるほどのすさまじい生命力が人々にパワーをあたえ、寺院の見どころのひとつになっています。
多くの石仏が置かれています!
境内のあらゆる場所に鎌倉時代の板碑や五輪塔、馬頭観音、六地蔵、子育て地蔵などがあります。
神奈川県で2番目に弁護士となり、のちに衆議院議員を務めた山田泰造氏の眠る墓や、日本の作家である大佛次郎氏の伯母の墓など川崎にゆかりのある人物の墓もみられます。
さまざまな石仏のある中、ひときわ気になる存在が「御修行大師御尊像(ごしゅぎょうだいしごそんぞう)」。
真言宗の宗祖である弘法大師ご誕生1200年の記念年の昭和48年度に建立されたそうです。
由来が刻まれた案内板には「お大師さまは光仁天皇御代(こうにんてんのうごだい)、774年(宝亀5年)6月15日、四国善通寺市に父佐伯氏・母阿刀氏の子としてお生まれになりました。
幼少より聡明で彿縁に深く、出家、求道心が強く、804年(延暦23年)に入唐し、青竜寺にて恵果阿闇梨(けいかあじゃり)の教えを受け、真言密教を日本に請求され、真言宗を開宗されました。
835年(承知2年)3月21日宝壽62歳を持って高野山に御入定にいたるまで広く日本各地を遍歴し、真言密教の普及と共に日本文化に貢献されました」と、お大師さま誕生から功績まで記されています。
この寺院の御本尊は「大聖不動明王尊(だいしょうふどうみょうおうそん)と二童子」ということで、本尊にまつわる歴史をゆるがすエピソードも残っています。
その言い伝えは武将である新田義貞が鎌倉攻めの際に、埼玉県入間川に陣を張った時のことです。
夢枕に2人の童子が現れて、新田義貞にあるお告げを授けます。
「鎌倉退治心願あらば、これより南の橘樹郡亘田の里に安置し奉る所の不動尊を崇信せられよ」
この不動尊が「成就院」のことであり、お告げの通りにしたところ、鎌倉時代末期に北条氏得宗家当主だった北条高時一族を破ることができ、鎌倉幕府を陥落することができたといいます。
地元住民も知らない川崎に関する歴史や、季節ごとに変化のある自然に触れられる場所「成就院」。
お近くにきた際はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
エリア情報
成就院
住所:神奈川県川崎市川崎区渡田東町3–8–1
アクセス:JR京浜東北線・東海道線・南武線「川崎駅」より臨港バス乗車、「成就院前」下車 徒歩約1分
TEL:044-333-6622
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