初詣も地元の人でにぎわう!地域に根ざした神社「大島八幡神社」
今回は地域の氏神様を祀るだけでなく、大島地区にまつわる先人の偉業が残る地域に根ざした神社「大島八幡神社」をご紹介いたします。
地元の歴史が残る神社です!
川崎区の北西部に位置する住宅街の大島。
かつては多摩川が作った三角州の一部で、大きな中洲だったことから大島という名が付いたとされています。
そんな大島にある川崎全体の中枢的な役割を持つと推察される神社が「大島八幡神社」です。
本殿には天照皇大神、春日大明神、八幡大善神、白滝大善神、白竹日大大善神の5つの神様が祀られています。
そして境内には、かつて川崎の地に住んでいた先人たちの行いを残した「大島新田記念碑」や「伝桃記念碑」などが建立されている貴重な神社です。
大島新田記念碑ってなに?
入口すぐの鳥居の近くに、貴重な記念碑のひとつ「大島新田記念碑」があります。
大島新田開拓の碑とは、1755年(宝暦5年)に大島村の名主である青木十郎兵衛英棟が大島村海岸に防潮堤を作り、新田開発したことを記念するものです。
約16年もの歳月を費やした大事業であったそうで、その尽力を後世に伝えたいとのことから子孫が残した記念碑になります。
伝十郎桃の記念碑とは?
もうひとつ160cmを超えるほどの大きな石碑「伝桃記念碑」も建てられています。
明治〜大正初期にかけて大島地区で生産されていた、川崎発祥の桃の開発や栽培に取り組んだ吉沢寅之助を表彰する記念碑です。
「大島八幡神社」が、かつて桃の集出荷場所となっていたことから大正4年に建てられたそう。
大島地区で農業を営んでいた吉沢家。先祖の伝十郎から家業を継いだ寅之助が桃の栽培や品種改良の研究を重ね、1896年(明治19)年に開発した桃が「伝十郎桃」です。
「伝十郎桃」は大玉で色艶がよく、甘味と酸味を兼ね備えていたことから東京や横浜にも出荷されていたといわれています。
しかし、大正から昭和の急速な工業化によって桃畑や農業者が減少し、徐々に川崎から姿が消えていったのだとか。
それでも品種が絶えることはなく、2010年(平成22年)に川崎市内の小学校に接ぎ木されたことによって、再びふるさとで「伝十郎桃」が育っているようです。
禅寺丸柿の由来を知る!
参拝後に本殿の裏を歩くと、現在の麻生区王禅寺の山中で偶然発見された日本初の甘柿「禅寺丸柿」の苗木が一部植えられているのを見つけました。
小粒でたねが多いのが特徴で、赤く熟すると甘味の強いおいしい柿で戦前の代表的な柿だったそう。
江戸時代には、都筑・橘・多摩などの川崎北部を中心に広く栽培されましたが、1965年頃(昭和40年頃)から他の品種に押されてしまうことに。
地域開発と相まって禅寺丸柿の栽培が下火となり、現在では柿ワインとしてわずかに市民に知られているようです。
川崎産「禅寺丸柿」の名を広く後世に伝えるため、柿生禅寺丸柿保存会会長の協力によって、かつて果実の里であった「大島八幡神社」の境内に「禅寺丸柿」の苗を移植したと案内板に書かれてありました。
先人の功績を刻む石碑や、かつての川崎の農産物の歴史を知るきっかけとなる「大島八幡神社」。
参拝がてらぜひご覧になってみてはいかがでしょうか?
新たな川崎の魅力に出会えること間違いなしです!
エリア情報
大島八幡神社
住所:神奈川県川崎市川崎区大島3-4-8
アクセス:JR京浜東北線・東海道線・南武線「川崎」駅より臨港バス乗車、「大島三丁目」下車 徒歩約2分
TEL:044-222-4827
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