初代川崎市長のお墓がある 川崎市「徳泉寺(とくせんじ)」

今回ご紹介したいスポットは、川崎市川崎区に位置する「徳泉寺」。
川崎市の歴史が感じられる貴重なお寺です。
もともとは多摩川を挟んだ東京の羽田にあった、こちらのお寺。
初代川崎市長である石井泰助氏のお墓や、功績を称えた警察官の巡査たちの供養碑があることで知られています。
地域住民に親しまれる存在としても重要な役割を果たしてきた、そんな徳泉寺の歴史をたどりながら、見どころをお伝えします!
港町周辺はレコード発祥の地!
京急大師線「港町」駅から徒歩約1分。
お寺の場所は、最寄りの駅からすぐという好立地なところにあります。
港町の周辺は「レコード発祥の地」であり、1909年(明治42年)に、日米蓄音機製造株式会社から日本で最初のレコード製造が始まりました。
昭和の大スターで知られる美空ひばりさんが、当時所属していたレコード会社だったようで、本社と製造工場が川崎にあったことから、川崎区の港町がレコード発祥の地といいます。
美空ひばりさんの大ヒット曲である「港町十三番地」は、川崎市が舞台となっており、楽曲タイトルにも港町の名前が入っています。
楽曲に興味のある方は、「港町」駅に歌碑やメロディー譜があるので、ぜひ訪れてみてください。
そのほかにもお寺までの道のりには、川崎競馬場もあり、川崎の歴史とエンタメを代表するスポットが集まっています。
最初は羽田にあった?
駅からすぐ道路沿いにお寺の山門がみえてきました。
山門から正面すでに本堂の一部がみえます。
徳泉寺は浄土真宗のお寺で、正式名称は「眞宗大谷派羽田山德泉寺」。
開山は不詳とされており、阿弥陀如来を本尊としています。
戦時中に、当時の住職が本尊だけを肌身離さずにいたことから、唯一戦禍をまぬがれたご尊体であるという逸話が残された本尊です。
正式名称に羽田山がつく通り、お寺はかつて多摩川対岸の羽田にありました。
しかし、1627年(寛永4年)に多摩川の洪水でお寺が水没し、川崎宿の江戸口近くに移ったと伝えられています。
そこは江戸時代には東海道に面した場所であったため、門前はとてもにぎわいがあったんだそう。
その後、1924年(大正13年)に旧六郷橋の架橋工事のため、現在の地である川崎区旭町に移転されます。
一説には酒豪で豪快な性格をした当時の住職が借金を重ねた末に土地を手放さざるをえなくなり、一帯の大地主であった石井家の好意によって現在の場所の寄進を受けたという逸話も残っているんだとか。
功績を称えた供養碑!
本堂前には、殉職した巡査二人、警察官の供養碑が並んで建てられています。
一つ目は、1878年(明治11年)9月の多摩川の洪水時に、住民の救助活動中に命を落とした福田傳四郎巡査。
そして二つ目は、1882年(明治15年)6月の伝染病(天然痘)の発生時に、患者救済の活動中に殉職した安井格襌巡査。
命をかけて地域を守り抜いた、おふたりの功績を称えてつくられた供養碑。
徳泉寺はそうした人々の思い出も大切にされています。
初代川崎市長のお墓!
境内の一角には、川崎市の初代市長である石井泰助氏のお墓もあります。
川崎市川崎区生まれの石井泰助氏は、1897年(明治30年)のまだ川崎が市ではなかった頃、川崎町の町長に就任しました。
その時代に、多摩川の沿岸に横浜製糖(のちの明治製糖で、現在はDM三井製糖ホールディングス)、東京電気(現在は東芝)、味の素などの大きな工場を誘致。
また、川崎に初めて上水道を敷設するなどして、今日の川崎市の基盤を造り上げた功労者であり、川崎の街が工業都市として発展するきっかけを作った人物なんです。
その後は1924年(大正13年)に川崎町、大師町、御幸村が合併して誕生した川崎市の初代市長となりました。
今でも地元の誇りとして称えられる川崎ゆかりの人物たち。
徳泉寺で川崎のルーツに触れてみてはいかがでしょうか?
エリア情報
徳泉寺
住所:神奈川県川崎市川崎区旭町1-14-13
アクセス:京急大師線「港町」駅より徒歩約1分
TEL:044-222-2921

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