芸術的な魅力にあふれる橋 鶴見区北寺尾の「響橋」
									
最近は至るところで再開発によるビルの建て替えが進んでいます。防災上の問題や多様なニーズに応えるためにそれらの建て替えは必要なのかもしれません。
でも、慣れ親しんだ建物や風景が壊されていく様を見るのはつらいですよね。そのようななか、私たちが住んでいる鶴見区には、長い間地域の人たちから愛されている建造物があります。
鶴見区北寺尾の「響橋」です。今回は、そんな「響橋」をレポートします。
学会も賞賛した「響橋」

「響橋」は地域の人々にとってなくてはならない橋です。なぜなら、この橋はJR京浜東北線鶴見駅西口から東急東横線綱島駅や菊名駅へと続く道路の途中にあり、鶴見西側地区の交通の要となっている場所にあるからです。
だから、私は今までこの橋に対してさほど強い思い入れはありませんでした。だって、私にとって「響橋」は生活道路以外の何物でもないからです。
しかし、ある時夫がまじまじとこう言ったのです。「今まで気づかなかったけど、じっくり見ると、この橋は歴史的建造物みたいでカッコいいね」と。言われてみれば、そう見えてきました。

そこで私は「関東の遺産」というホームページで「響橋」について調べてみました。するとすごい事実が判明したのです。なんとこの橋、そのデザインが素晴らしいということで2016年に土木学会より「土木学会選奨土木遺産」に選ばれていたのです。私はその事実を知りビックリしました。

そこで、改めて「響橋」を見に行くことにしました。実際に行ってみると、橋のすみずみまで飾りや工夫がされており、中世ヨーロッパの教会のような雰囲気を醸し出しています。


欄干には趣のある飾りが施されており、荘厳な感じがします。

橋下から見上げるとアーチ型の部分がまるでヨーロッパの教会の天井のように見えます。「すごい」思わずそんな声を出してしまいました。

特に印象的だったのは、橋のアーチ部分と欄干との間にある窓のような空間です。この空間があることによって、重厚な中にも軽やかさを感じます。なんて品のある橋なのでしょう。これぞまさに「響橋」が地域に愛されている理由なのですね。
幻のオリンピックで注目を浴びた「響橋」

では、なぜこんなにも素晴らしい橋が鶴見区北寺尾に作られたのでしょう?再び「関東の土木遺産」を調べてみました。「響橋」は1936年に着工しました。着工当初は普通の橋を建てる予定だったそうです。
しかし、ある時その内容が変更されました。というのも、この橋が作られる場所に当時予定されていた東京オリンピック(「幻のオリンピック」と言われ、実際は開催されなかったオリンピック)のマラソンコースの折り返し地点が置かれるとの決定がくだされたのです。それにより一躍「響橋」に注目が集まりました。そして、その後素晴らしい橋の建設へと進んだそうです。
わが街にオリンピックが来ると知ったら、それも橋を建てる予定の場所がマラソンコースの折り返し地点になると分かったら誰だってうれしいですよね。だから、当時の人たちはこの地に素晴らしい橋を作ったのだと思います。
それにしても、よくぞこんなに素晴らしい橋ができたものだとつくづく感心します。昭和初期といったら戦争によって物資や人員が不足していた時期でした。なのに、こんなに素晴らしい橋を作るなんて、とてつもない努力と工夫を凝らしたのでしょうね。建設に携わった人たちが見せた強い意気込みと、橋にかける愛情の深さを感じずにはいられませんでした。
ニックネームのある橋

実はこの橋、何故か地元では「めがね橋」というニックネームで親しまれています。実際、「響橋」近くのケアプラザでは、「めがね橋新聞」という新聞を発行していました。橋にニックネームをつけるなんて、珍しいですね。おそらく、「響橋」の形状に採用されているアーチ型が眼鏡のフレームの形に似ているからかもしれません。同じように、長崎にあるアーチ型の陸橋にも「眼鏡橋」という名称がついていますものね。でも、橋にニックネームをつけるなんて「響橋」は本当に地域の人たちに愛されているのですね。

今まではただ渡るだけで、橋のフォルムや飾りに注目したことはありません。しかし、今回いろいろと形や飾りをじっくりと観察することにより、「響橋」の魅力をいっぱい知ることができました。今なお地域の人たちに愛されている「響橋」。たまには鑑賞するためだけに訪れてはいかがでしょう。
エリア情報
響橋
															住所:神奈川県横浜市鶴見区北寺尾1丁目1
アクセス:
JR京浜東北線鶴見駅西口から川崎鶴見臨港バスで「二本木」もしくは「東寺尾」で下車(橋上)
JR京浜東北線鶴見駅東口もしくは川崎駅西口から横浜市営バスで「東寺尾陸橋下」で下車(橋下)													
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